湘南鵠沼で20年来様々なイベントを企画運営してきたレスプリ・フランセと、鵠沼出身で今や国内外で幅広く活躍するヴァイオリニストの白井圭が、2023年、次世代を担う若手の育成と地域への貢献を目標に、若手クラシック音楽家育成の場として「鵠沼音楽アカデミー」を立ち上げました。 (→ 第3期 鵠沼音楽アカデミー概要

若い音楽家になるべく負担を負わせることなく、彼らに最上級の学びの場を与えることをアカデミーの基本理念とし、多くのサポーターからご寄付をいただき、初回より受講生への宿泊補助や、期間中の食事の提供を行っています。(→サポーターズクラブのご案内)共演方式の講習会であること、リハーサルはどなたでも見学できること、講師と受講生が食事の時間にもコミュニケーションをとることなど、珍しい試みが多く行われていることに加え、受講料が大変安価であることも話題となりました。

講師が語る、鵠沼音楽アカデミーの魅力

白井 圭

しらい けい

プロフィール (▶︎クリックで続きます)

トリニダード・トバゴ共和国生まれ。ソリスト、室内楽奏者、ゲストコンサートマスター、 また指揮者として幅広く活動している。 神戸市室内合奏団コンサートマスターを経て、2020年4月より2023年3月まで務めたNHK交響楽団ゲスト・コンサートマスターとしては、世界的な指揮者達から全幅の信頼を 得ると同時に各方面より絶賛された。 東京藝術大学卒業後、文化庁の奨学生としてウィーン国立音楽演劇大学に留学。その間、 徳永二男、大谷康子、田中千香士、堀正文、ゴールドベルク山根美代子、ヨハネス・ マイスルの各氏に師事。

/日本音楽コンクール第2位及び増沢賞(2001)、ARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位 及び聴衆賞(2009)、 ハイドン国際室内楽コンクール第1位及び聴衆賞(2015)など、多くの受賞歴を持ち、これまでにチェコ・フィル、新日本フィル、神戸市室内合奏団、N響、ミュンヘン室内管、ベトナム国立管など内外のオーケストラと共演。2011年9月より半年間、日本人として初めてウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルの契約団員として所属したことは、キャリアの中でも異彩を放っている。

木曽音楽祭、武生国際音楽祭、東京・春・音楽祭、セイジ・オザワ松本フェスティバル、 宮崎国際音楽祭には毎年のように参加する他、ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ、 トリオ・アコード、 ザ・プラーター・クインテット、Stefan Zweig Trioのメンバーとし ても活躍。指揮者としては、音楽監督を務める田中千香士レボリューション・アンサンブ ルの「明治座クラシックコンサート」のほか、ベトナム国立管などを指揮。2023年より 鵠沼音楽アカデミーを主宰し、後進の育成と共に、文化への理解促進、そして自己の研鑽 に励んでいる。

これまでにFontecより「シューマン:ヴァイオリンとピアノのための作品集(ピアノ=伊藤 恵)」、ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲(トリオ・アコード)」を、Tacet及びCPOよりルー トヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズのCDを、ARSよりシュテファン・ツヴァイク・ト リオのCDをリリース。
https://km-academy.jp www.stefanzweigtrio.com www.ludwigchamberplayers.com

どのようなアカデミーですか?

僕が録音審査を通して、面白いな、いいなと思った受講生たちと、一緒にアンサンブルをするところです。数日間のリハーサル、修了コンサートを通して、より深く音楽について考えるきっかけになればいいなと思っています。アンサンブルをすることによって気づくこと、音楽の見方、価値をお互いに共有することを大事にしたいと思っています。新しいアプローチを試したり、とにかく音楽的にいろんな経験、体験をたくさんします。アカデミーとは言っても今のところ1週間の講習会のようなものです。

アカデミーを鵠沼で始めたきっかけは?

鵠沼にあるレスプリ・フランセの代表・渡邊みきさんから、創業20年を機に何かできないかしら、と相談を受けて、お話しする中で感じた地域還元、社会貢献も踏まえて、以前より頭にあったアカデミーのようなものを作りたいと提案したのがきっかけです。

以前から若者の教育や育成に興味があったのですか?

30歳になった時に、僕は何がしたいのだろうと考えた時があったんです。ちょうどその頃は同年代が(音楽の)仕事を始めていく中で、理想と現実の違いに戸惑っているのを見ていて、自信を持って自己を表現しにくい世の中を目の当たりにしました。当時自分は留学を通していろんな経験をしたこともあって、日本では学べなかったことを知り、横のつながりを失った現代の文化芸術に疑問を持ち、「学校で教わらないことってこんなに沢山あるんだ、それを教えてもらったら、自分たちがなんとなく思っていたことも、確信を持つことが出来てもっと強くなれるんじゃないか。」と思ったんです。それで、そういう事を学べる学校がないんだったら自分で作ればいいと思ったのが最初かな。当初の目標では、その頃まだご存命だったアーノンクールを招いたり…とか壮大なものをイメージしていたんだけど、若さもあって挫折して、まずは今できることか始めようと、その第一歩が40になる直前に始めることができた、この「鵠沼音楽アカデミー」です。

では今後どなたかアーノンクールのような?他の講師を招聘することもありますか?

特別な講師、僕が教えられない知識を持っている人に来てもらいたいとは思っています。

僕の中の理想にメディチ家があって、そこでは当時最高の知識とひらめきと感性の持ち主たちが切磋琢磨して様々な分野を成長させたんだと思っているんです。だから本当は音楽だけじゃなくて、芸術、もっと言えば学問も含め、いろんな文化を学べる場になったらいいと思っていて、そういう専門家が毎回いろんな分野から来てくれたらいいなと思っています。僕も学びに行きたい、と思えるようなアカデミーであることが大事です。

このアカデミーでは専門の楽器はなんでもいいということですが…

楽器をどう弾くか勉強しにくるというよりも、音楽へのアプローチや知識を学ぶ、音響体験ができる場にしたい。ですから道具は関係ないと思っています。もちろん演奏技術としては僕には解決策がわからない場合もあると思います。でも、何を実現したいかという意思があった上で身につけるのが技術(方法)だと思うので、技術は持ち帰って研究してもらいたいと思っています。それなりに自分が思うように楽器を扱えるのは前提条件です。このアカデミーは演奏家養成塾ではなくて、受講生もしくは見学に来た人が将来は批評家になってくれても、いい聴衆になってくれても、プロデューサーになってくれても嬉しいし、音楽を表現する人なり、考える人なり、なるべく広く音楽、芸術を見れるような人たちが増えればいいなぁと思っています。

修了コンサートだけではなく、リハーサルの一般公開も好評だと聞きました

はい、やっぱりなかなか無い機会だと思うので、喜んでいただけてよかったです。受講生は第三者が居ることによってやりづらいかな、とも心配したのですが、問題なさそうでした。

元はと言えば、地域の人にサポートしてほしいという思いがあって、散歩途中の近隣の方が何やってるのかな?ふらっと入ってみようかな?ということから興味を持っていただいて応援してほしいという目論見だったのです。きっと聞いてみると、「へぇ、こういうこと考えて練習しているのか、こういう風に演奏会に向けて準備するんだ。」というのが見られるのは面白いかな、と。またリハーサルの見学に来てくださる方も応援してくださるサポーターだと思っています。入場料も運営費を賄うためには重要なんです。

受講料が格安で、宿泊食費補助が出るのは素晴らしいですね。

そのために、頑張ってサポーターを募っています!僕自身、学生の頃からお金はなくて、奨学金をもらえたお陰で演奏会にも行けたし、いろんな家庭があって、お金がないから参加できないっていうのは避けたいと思ったから、なるべく受講生には負担がないようにしたい。それで彼らが将来成功したら、サポートする側に回ってくれたらとても嬉しいです。30歳の頃の構想では、食事の時間やお酒の時間も含めた合宿生活を通した気づきや学びをイメージしていたので、食事は、講師と受講生一緒にとることになりました。これはレスプリ・フランセ渡邊みきさんの能力とご厚意に依るところが甚大です!寄付をしてくださる、サポーターズクラブの方々には、いろいろ特典もご用意したり、特別なイベントを開催して、演奏会や交流会をする予定です。たくさんの方に応援していただけるようなアカデミーにしたいと思っています。ぜひみなさんご協力お願いします!

アカデミーの将来の夢、目標などは?

規模を大きくしたいわけではありませんが、将来的にはやる気に溢れた若者たちのサポートの強化として、留学支援などもできるような機関になれたらいいと思っています。少なくとも常に新しいことに挑戦する魅力的なアカデミーとして継続させたいです。受講生が歳を重ねたときに、あれは自分にとって大きな出来事だった、と思ってくれる場になったら嬉しいです。

メディアでご紹介いただきました!

  • 読売新聞 2023年2月12日掲載

会場:レスプリ•フランセ

湘南鵠沼 サロンコンサートホール

〒251-0037 神奈川県藤沢市鵠沼海岸7−7−11

Tel: 0466−34−3299

HP:https://www.lesprit-francais.jp/